前回は学びには2種類あるという話について書きました
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それに関係して言うべきことは言わなければならないという場面が来た時にどう対応すればよいのかという話をします。
会話する能力が、崩れてきている
例えば、以下のような会話で母親と息子のコミュニケーションが崩壊している例を見てみましょう。
例1
母:勉強したの?
息子:ていうか腹減った。
母:そうだ、買い物で食材買ってないから今日は外食しようか。
ここでは、母親が勉強について尋ねているにもかかわらず、息子が腹減ったと全く関係のない返事をし、さらに母親も食材の話に移ってしまい、最初の質問に戻らず会話が崩壊しています。
例2
母:勉強したの?
息子:え、今からゲームするんだよ。
母:そういえば、おばあちゃんが来るって言ってたわね。
ここでは、息子がゲームの話を持ち出し、母親もそれに関連しないおばあちゃんの話を始めてしまい、勉強の話題が完全に逸れてしまいました。
ここでは母と息子の例になっていますが、現実では様々な場面で似たような状態になることもあり、言うべきことは言わなくてはならない時もあります。
そのようなときは
理性だけではなく情に訴えかける
脳の仕組みを理解して接する際に、大脳皮質だけでなく情に働きかけることが重要です。脳は理性だけでなく感情によっても大きく影響を受けるためです。
理性と感情の役割
大脳皮質:
- 理性的な思考や論理的な判断を行う。
- 計画や問題解決、意思決定などを担当する。
- 知識や情報を基に理屈で物事を理解する。
辺縁系:
- 感情や情動を制御する。
- 扁桃体が恐怖や喜びなどの強い感情反応を引き起こす。
- 感情記憶を形成し、経験から学ぶための動機づけとなる。
感情に働きかけることが重要な理由
- 動機づけと記憶形成:
- 感情的な経験は記憶に強く残りやすい。情動を伴う出来事は長期記憶に効果的に保存されるため、感情に働きかけることで、教訓やメッセージがより深く心に刻まれる。
- 共感と理解の促進:
- 感情に訴えることで、相手が自分の気持ちや状況を理解しやすくなる。共感を通じて、相手との信頼関係が強化され、コミュニケーションが円滑になる。
- 行動の変容:
- 理性的な説明だけではなく、感情的な影響も受けることで、行動の変容が促進される。感情的な訴えかけは、行動の動機づけに強く作用するため、望ましい行動を引き出すために有効。
- バランスの取れた成長:
- 理性だけでなく感情も含めた教育や指導は、バランスの取れた人格形成を助ける。理性的な思考力と情緒的な共感力の両方を育むことで、適応しやすい個人を育てることができる。
具体的なアプローチ
- 理性的な説明:なぜその行動が問題なのか、理屈で説明する。
- 例:「この行動は他の人に迷惑をかけるから良くない。」
- 感情的な訴えかけ:その行動が感情的にどのように影響を与えるかを伝える。
- 例:「その行動で私はとても悲しい気持ちになる。」
これらを組み合わせることで、単なる理性的な説明に終わらず、感情的な理解も深まるため、効果的な接し方ができます。
母: あなたが他の人に迷惑をかけることは良くないわ。例えば、大声で騒いだり、周りの人を困らせたりすると、みんなが困ってしまうのよ。
息子: そんなに大変なことなの?
母: そうなの。他の人が嫌な思いをするだけでなく、私もとても悲しい気持ちになるわ。あなたがちゃんと考えて行動してくれることを願っているの。
息子: 分かったよ、お母さん。気をつけるようにするね。
このような例が、理性的な説明と感情的な訴えかけを組み合わせた会話です。
自己肯定感を否定しないことが新時代で活躍する人材の育成に、自信とモチベーションの向上、創造性の発揮などの面で密接に関わっているのです。
皆さんも理性だけではなく情に訴えかけることを実践してみてはいかがでしょうか?