【卒業生インタビュー】障害特性を「壁」から「階段」へ〜自分に合う環境を選び取り、企業の「最強の右腕」になるまで

こんにちは!札幌の就労継続支援ライフワーク、ブログ担当Katyです。

就職を決めた方の記事を読むと「この人は最初から特別だったんじゃないか」「自分とは元々の才能が違うんだ」と感じて、心を閉ざしてしまうことはありませんか?

今回インタビューに応じてくださったBさん(公式キャラクターワカちゃんの製作者)も、かつては家から一歩も出られず、社会とのつながりを失っていた時期がありました。
支援を受ける「利用者」から、仲間を支える「ピア支援員(職業指導員)」へ。
そして現在は、一般企業(AM株式会社)で社長から「最強の右腕」と信頼される存在へ——。

Bさんがどのようにして自身の障害特性を受け入れ、強みへと変えていったのか。
その歩みと「自分らしく生きるためのヒント」をお届けします。

【過去のBさんのブログはこちら】

社会に馴染めなさを抱えていたデザイン学校卒業生がライフワークで働いた4ヶ月間①
https://lifework-es.com/story-b/

社会に馴染んできたデザイン学校卒業生がライフワークで働いた半年間②
https://lifework-es.com/story-b2/

社会に馴染んだデザイン学校卒業生がライフワークで働いた1年と2ヶ月間③
https://lifework-es.com/design-graduate-14-months-at-lifework-3/

ライフワークに入る前:臆病な虎だった僕の「最初の一歩」

クリエイティブへの執着と、動けなくなった1年間

専門学校時代、学費のために警備員と清掃員を兼務しながら必死で働いていたBさん。
施設閉店まで走り抜けた末に待っていたのは、深刻な「燃え尽き症候群」でした。

Bさん

当時はまさに「山月記」にある「臆病な自尊心(臆病な虎)」そのものでした。
クリエイティブな仕事に就きたい気持ちはあるけれど、ポートフォリオを作っても「これに価値があるのか?」と怖くなり、就職に踏ん切りがつかなくなっていたんです。

就活に出かけるお金すらなく、1年間ほど自宅に引きこもり、完全に身動きが取れなくなっていました

1本の電話が手繰り寄せたきっかけ

そんなBさんの状況を見かねた友人が、札幌市障害者相談支援室(通称:相談室)へ電話をかけて予約を入れてくれたことが転機となります。

Bさん

正直、行く前は抵抗感でいっぱいでした。
でも、地域の相談室は事業所を紹介するだけではなく、自立支援医療や手帳のこと、公的支援が使えているかなど、第三者の視点で頭を整理してくれる場所です。

もし今「先のことなんて考えられない」と立ち止まっているなら、まずは第三者に相談してみることを強くおすすめします

その後、見学・体験を経て「ライフワーク」への入所を決意。
決め手となったのは、意外にも「ご飯がおいしい」という体験でした。

Bさん

単に味が美味しいだけではなく、通っている方々が尊厳を持って、にこやかに談笑しながら食事をとっている雰囲気が温かかったんです。
「ここなら安心して自分らしくいられる」と感じました。

利用者から指導員へ:「できない」を認め、人に「頼る」を覚えた日

「一人で完璧にやらなきゃ」からの脱却

ライフワークでの訓練を経て、その姿勢と人柄が評価されたBさんは、ピアの職業指導員として登用されます。
しかし、就任当初は「みんなの役に立たねば」という強いプレッシャーから、過集中とオーバーワークでパンクしてしまいそうになりました。

Bさん

メンバーさんが作業しやすいよう、僕が完璧なお膳立てをして100%のパッケージで渡さなきゃと思い込んでいたんです。

でも限界を迎えたとき、周りの方が「工藤さんが頑張っているから、負担にならないように私たちがこうしておきましたよ」と声をかけてくれて……。
自分一人で抱え込むより、人に頼って一緒に作ったほうが、結果として長く大きな成果を出せるのだと気づかされました


自分の体調をデータ化し、客観的に原因を探る

体調の波があった時期も、Bさんは「なぜ体調が悪いのか」を感覚ではなくデータで捉える工夫をしていました。

1年間にわたり自分の体調(5段階評価)と気象データを照らし合わせ、AIに分析させた結果「気温や睡眠状態」が不調の要因だと特定。
原因がわかったことで、睡眠外来の受診(睡眠時無呼吸症候群と判明!)やスポットクーラーの導入など、具体的な対策をとることができました。

在宅ワークの挑戦と、自分に合う働き方の「見極め」

フルリモートに挑戦して見えた「自分の特性」

フリーランスや在宅ワークに憧れを抱く人は多くいますが、Bさんも実際に「週2日在宅・週3日通勤」という働き方に挑戦した経験があります。
しかし、実際に家で仕事を始めてみると、自分の障害特性による意外な壁に突き当たりました。

Bさん

家だと人の目がないため、歯止めがかからずに過集中になりすぎてしまったり、逆に孤独感を感じて安定しづらかったりと、自分には人の目や他人との適度な交流が必要なんだと痛感しました。

現在は完全な在宅環境ではなく、情報館などの公的スペースを活用し、1時間半ごとに場所を移動して集中力をコントロールしながら働くスタイルに切り替えていて、最近はコワーキングスペースの活用も検討しているといいます。

障害特性を「ダメなもの」ではなく「選択のためのデータ」にする

「一般企業で働くなら、決まった時間に起きて完璧なスケジュールで動かなければならない」と、世間の基準に自分を当てはめて自分を責めてしまう人は少なくありません。Bさんもかつてはそう考えていたと言います。

Bさん

目標が高すぎると、今の自分とのギャップばかりを見て「自分のここもダメ、あれもダメだ」と負のバイアス(減点方式)にかかりがちです。
でも、目の前の「壁」は、無理やり乗り越えるだけが正解ではありません。

自分の特性を分析して「切り崩して階段にする」のもいいし、「迂回して戦わないルートを選ぶ」のもいい。
自分を責めるのではなく、自分を活かせる環境を選ぶための「情報(データ)」として捉え直すことが大切です。

現在の職場でも、社長と相談しながら「1日7時間の勤務量を守れれば、フレキシブルに動き出せる環境」を整えることで、過度に落ち込まず自分のパフォーマンスを発揮できるようになりました。

AM株式会社での現在:クリエイターから「仕組み作りの天才」へ

デザイナーから「ディレクション・業務改善」へのシフト

現在、AM株式会社で武藤社長から「最強の右腕」と絶賛されているBさん。
当初はデザイナーとして入社しましたが、業務を進める中で自身の強みを発揮できる領域へと職種をシフトさせていきました。

一時期は月40件もの進行管理(ディレクション)を同時にこなすほどのマルチタスクを担いましたが、一人で抱え込みすぎて自律神経に影響が出そうになった際、ライフワーク時代に学んだ「早めの相談とアプローチ」を実行。
社長に現状を伝えて適切に引き継ぎを行い、現在は得意分野である「業務改善ツールの開発やAIを活用した仕組み作り」に特化して活躍しています。

支援員時代の経験が活きる「社長と現場をつなぐ翻訳力」

AM株式会社において、Bさんが特に発揮している大きな強みが「社長の抽象的なアイデアを、現場が動きやすい言葉に翻訳する調整力」です。

Bさん

社長の発する感覚的な言葉やビジョンは、そのままでは現場のスタッフに伝わりきらないことがあります。
僕は「指示を出す側」と「指示を受ける側」の両方の立場や気持ち(利用者・支援員の両方の経験)が痛いほどわかるので、双方の間に立って「こういうことですよね」と噛み砕いて伝えることができるんです

自分が支援された経験と、誰かを支援した経験の双方を持っているからこそ、相手の立場に立った丁寧な伝え方ができ、組織全体をスムーズに動かす「橋渡し役」として欠かせない存在となっています。

読者へのメッセージ:未来を切り拓くすべての人へ

ライフワークは「障害特性を階段に変えてくれた場所」

引きこもっていた時期から、ピア支援員としての経験を経て、現在は一般企業の「最強の右腕」として活躍するBさん。
ライフワークに入った当初と現在を比べて、一番「変わった」と感じる部分や、ライフワークという場所の存在についてこう振り返ります。

Bさん

僕にとってライフワークは、障害特性を『壁』ではなく『階段』に変えてくれた場所でした。

1人で立ち止まっていた僕に、困難を自分自身で乗り越えるための方法を一緒に見つけてくれて、自分の特性を責めるのではなく、正しく受け入れて理解できるようになれた場所なんです

Bさんは支援員をする中で「人生がもしかしたら始まるかもしれない」と感じたと言います。
そう感じた瞬間から、Bさんは自分の特性と向き合い、ひとつずつ階段を登ってきました。

今、不安の中にいるあなたへ贈る言葉

今、A型やB型事業所を利用していて「本当に一般就労できるのかな」「自分に合う仕事なんてあるのかな」と不安の中にいる読者の方に向けて、Bさんから愛のこもったエールをいただきました。

Bさん

「やりたいこと」と「やれること」は、もしかしたら別かもしれません。
けれど「こういう風に生きたい」「こんな自分になりたい」という思いや目標がある限り、人は何度だって改善や努力を続けることができます

「目標があれば、ちゃんと努力ができるはず」。

だからこそ、焦らずに自分に合ったやり方を試行錯誤し続けてみてください。
諦めずに試行錯誤を重ねていけば、どんな形であれ、絶対に道は開けます

編集後記

引きこもっていた過去も、過集中でパンクした経験も、Bさんはすべてを「自分の取扱説明書(データ)」として蓄積し、次のステップへの階段へと変えていきました。

「自分に合う環境なんてあるのかな」と不安を感じている方も、まずは小さなお悩みを相談することから始めてみませんか?
ライフワークは、あなたがあなたらしく輝ける「階段」を一緒に探す場所です。

Bさんの務めるAM株式会社 武藤代表のインタビューブログはこちら

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