ADHDの本質と誰もが働きやすい職場づくりのヒント【前編】

こんにちは!就労継続支援のブログ担当Katyです。

今回は、発達障害のひとつである「ADHD(注意欠如・多動症)」にスポットライトを当てて、その本質や具体的な工夫、そして誰もが輝ける職場づくりについて、徹底的に解説していきます。

目次

発達障害の全体像とADHDの3つの特徴

一口に「発達障害」と言っても、実はそこにはいくつかの種類(カテゴリー)が存在します。
そしてこれらは、境界線がくっきりと分かれているわけではなく、グラデーションのようにいくつかの特性が重なり合っていることも珍しくありません。

代表的なものとしては、コミュニケーションの苦手さやこだわりの強さが特徴的な「ASD(自閉スペクトラム症)」、読む・書く・計算などが極端に苦手な「LD(限局性学習症)」、そして今回詳しく見ていく「ADHD(注意欠如・多動症)」などがあります。

では、ADHDにはどのような具体的な特徴があるのでしょうか。
人間の脳の働きにおける「個性」として、大きく次の3つの特徴が強く出やすいと言われています。

  • ①不注意(ふちゅうい):ひとつのことに集中し続けることが難しかったり、仕事の予定や持ち物をうっかり忘れてしまったり、落とし物が多くなったりする特性です。
  • ②多動性(たどうせい):じっと座っているのが苦痛に感じられたり、体や手を常に動かしていたい、落ち着かないと感じたりする特性です。
  • ③衝動性(しょうどうせい):何かアイデアや感情が思い浮かんだとき、じっくり考えるよりも先に行動に移してしまったり、相手の話を遮って発言してしまったりする特性です。

これらは決して「悪いもの」ではなく、その人の脳が持つ固有の性質なのです。

発達障害は病気ではない。「脳の凸凹(でこぼこ)」という捉え方

多くの人が誤解しがちですが、発達障害は治療して治すような「病気」ではありません。ましてや、本人の能力が周囲より「劣っている」ということでもありません。

分かりやすく言うと、それは「得意なこと」と「苦手なこと」の差が、人一倍大きいだけなのです。


一般的な脳の働きを持つ「定型発達」の人は、得意・不得意の差が比較的小さく、能力が全体的に丸くバランスが取れています。
一方で、ADHDなどの発達障害を持つ人は、苦手なことは極端に苦手な反面、自分の興味があることや得意な分野においては、周囲が驚くほど突出した力を発揮する(過集中など)傾向があります

つまり、形が違うだけで、みんなそれぞれ違った「脳の個性」を持って生きているのです。

なぜ「困りごと」が起きるのか?

では、なぜ仕事や日常生活の中で、ミスやトラブルといった「困りごと」が起きてしまうのでしょうか。


ここで最も強調したいのは、困りごとが起きるのは「本人の努力不足」や「怠け」のせいでは絶対にないということです。

原因はとてもシンプルです。その人が持つ「特性」と、今いる「環境ややり方」が合っていないから。
ただそれだけなのです。四角い形をした個性を、無理やり丸い穴に押し込もうとすれば、当然どこかに歪みや苦しさ(困りごと)が生じます。

であれば、解決策もシンプルです。
本人の性格を変えようとするのではなく「環境を変える」か「道具(工夫)を使う」
やり方さえその人に合わせれば、どんなことでも驚くほどスムーズに上手くいくようになります。

特性別の困りごとと、今日からできる「仕組み化」の解決策

①【不注意】へのアプローチ:外部ツールに頼る(仕組み化)

  • 困りごと
    目の前の仕事に集中できず気が散ってしまう。
    指示された予定やタスクをうっかり忘れてしまう。
  • ありがちな失敗
    「次は絶対に忘れないように気をつけよう」と自分の記憶力や意識の高さだけで解決しようとすること。
    これでは何度も同じ失敗を繰り返してしまいます。
  • 解決策
    自分の記憶力に頼るのをいさぎよく辞めましょう!
    スマホのリマインダーやアラーム、メモ帳、あるいは生成AIツールなどを駆使して、「頭の中から記憶を追い出し、忘れても自動的に気づける仕組み」を作ることが正解です。
    (もちろん個人差があり、そういった工夫で対処できないから苦労しているという方も多くいらっしゃいます)



    ADHD当事者が作ったタスク管理アプリ

〈iOS〉https://apps.apple.com/jp/app/any-planner-1日のタスクを可視化する/id6758033935

〈Android〉 https://play.google.com/store/apps/details?id=com.anyplanner.app&hl=ja

②【多動性】へのアプローチ:無理なく動きを取り入れる

  • 困りごと
    オフィスワークなどで、じっと長時間椅子に座って作業を続けることが苦痛でたまらなくなる。
  • ありがちな失敗
    「社会人なんだから席を立つな」と自分を縛り付け、ストレスで作業効率が極端に落ちてしまうこと。
  • 解決策
    自分の特性に合わせて、こまめに短い休憩を挟むペースを作ります。
    また、立ちながら仕事ができる昇降デスクを取り入れたり、書類のコピーや荷物の運搬など「体を動かす作業」を定期的にスケジュールに組み合わせることで、多動性のエネルギーをプラスに発散させることができます。
    (もちろん個人差があり、そういった工夫で対処できないから苦労しているという方も多くいらっしゃいます)

③【衝動性】へのアプローチ:書いて整理する

  • 困りごと
    会議や会話の中で、思いついた意見や感情のままにすぐ行動・発言してしまい、後から「言わなきゃよかった…」と深く後悔する。
  • ありがちな失敗
    その場の空気や感情に飲み込まれ、ノーブレーキで突っ走ってしまうこと。
  • 解決策
    何かが頭に浮かんだとき、すぐに口を開いたり動いたりせず、まずは頭の中で「1、2、3」とゆっくり数を数えてクールダウン(一呼吸おく)する習慣をつけます。
    また、言いたいことがあれば、発言する前に一度手元の紙にペンで書き出してみる。
    これだけで、驚くほど冷静かつ整理された状態で相手に伝えることができるようになります。
    (もちろん個人差があり、そういった工夫で対処できないから苦労しているという方も多くいらっしゃいます)

後編に続きます


自分の特性に合わせたツールや工夫を取り入れることで、日々の「困りごと」は「忘れても大丈夫な仕組み」へと変えていくことができます。

さて、ここまではADHDの特性による困りごととその対策についてお話ししてきましたが、実はこれらの特性には、裏を返すととんでもない可能性と素晴らしい才能が隠されているのをご存知ですか?

【後編】では、ネガティブに見えがちな特性を圧倒的な「強み」へと変えるヒントや、実際に脳の凸凹(でこぼこ)を活かして世界を変えた偉人たちのエピソード、そしてライフワーク全体で取り組みたい「誰もが働きやすい職場づくり」について詳しくお届けします!

ぜひ後編もチェックしてみてくださいね。
それでは、後編に続きます!

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