こんにちは。ライフワークのKatyです。
「なんだか今日、体調が優れないな」「心が沈んでしまうな」と感じることはありませんか?
うつ病や心の不調というものは、怪我とは違って目に見えません。
だからこそ、周りから「怠けている」と誤解されてしまったり、自分自身を「どうして皆と同じようにできないんだろう」と責めてしまったりすることがあります。
今回は、私たちの心と体の中で一体何が起きているのかを分かりやすく紐解き、ライフワークの仲間同士が「お互いをわかりあう」ための第一歩となるようなお話を、皆さんにシェアしたいと思います。
うつ病は「気持ちの弱さ」ではありません

まず、一番最初にお伝えしたい大切な事実があります。
それは、うつ病や心の不調は、決してあなたの「気持ちの弱さ」や「性格のせい」ではないということです。
これを植物とスマートフォンという、私たちの身近な2つの例えで考えてみましょう。
嵐で傷ついてしまった「土の中の根っこ」
うつ病の状態を植物に例えるなら、激しい嵐によって「土の中の根っこ」が傷ついてしまっている状態です。
根っこがボロボロになって傷ついている木や花に向かって「もっと葉っぱを青々と伸ばせ!」「気合いで綺麗な花を咲かせろ!」と外からいくら叫んでも、それは絶対に無理な話ですよね。
今必要なのは、無理に成長させようとすることではなく、まずは目に見えない根っこをゆっくり休ませて、土の中で治療してあげることなのです。
劣化した「スマホのバッテリー」
もう一つの例えが、長年使って劣化した「スマホのバッテリー」です。
脳のエネルギーが「空っぽ」になっているため、古いスマホのように、どれだけ時間をかけて充電してもすぐに残量が減ってしまったり、まだ20%あると思っていたのに一気に画面が暗くなって電源が落ちたりします。
これは、あなたの根性が足りないからではなく、脳がエネルギー不足を起こしているという、大切な「身体のサイン」なのです。
2. 毎日の生活にある、見えない3つの「困りごと」

メンタルが弱っている時、日常の何気ない動作の裏側で、本人にしか分からない「見えない困りごと」が多発しています。
周りからは普通に見えても、内側では必死の戦いが起きているのです。
代表的な3つの症状と、その科学的な理由を見てみましょう。
① 鉛のように重い体
- 当事者の声:「朝、ベッドから起き上がれない。体が鉛(なまり)のように重くて、自分の体なのに動かそうとしても全く動かない……」
- その理由: これはサボっているわけではありません。脳のエネルギーが完全に空っぽになっていて、体へ「動け」という指令を出す仕組みがストップしている状態だからです。
② 文字が暗号に見える
- 当事者の声:「本やスマホの文字を読んでも、全く頭に入ってこない。ただの幾何学模様や、意味の分からない記号・暗号みたいに見えてしまう……」
- その理由: 私たちが文章を理解する時に必要な、集中力を作る脳内物質「ノルアドレナリン」が著しく減少しているサインです。
③ 午後に突然やってくるガス欠
- 当事者の声:「朝はなんとか気力を振り絞って作業所や学校に行けたのに、お昼を過ぎると急に電池が切れたように1歩も動けなくなってしまう……」
- その理由: これはうつ病特有の「易疲労感(いひろうかん)」と呼ばれるものです。心の不調を抱えている人は、健康な人と比べて、普通に過ごすだけでも何倍も疲れやすい状態になっています。
なぜ異常に「甘いもの」や「パン」が欲しくなるの?

うつ病やストレスを抱えている時、「なぜか無性にチョコレートやケーキが食べたくなる」「パンやご飯などの炭水化物ばかりを異常にドカ食いしてしまう」という経験はありませんか?
「また食べ過ぎちゃった、私はなんて意志が弱いんだろう……」と落ち込む必要はありません。
これも実は、あなたの脳が出している必死のSOSなのです。
うつ状態になると、私たちの心に安心感をもたらしてくれる「セロトニン」という脳内物質が急激に減ってしまいます。
セロトニンが減ると、脳は「大変だ!このままじゃ心が壊れてしまう!早くセロトニンを作らなきゃ!」と大焦りで応急処置を始めます。
この時、甘いものや炭水化物(パン、ご飯、お菓子)を食べると、実は脳内で一時的にセロトニンが増えて、ホッと安心することができるのです。
つまり、あなたがパンや甘いものを引き寄せられるように食べてしまうのは、脳が「自分を治そう、守ろう」として、無意識に命令を下している結果に過ぎません。
自分を責めるのをやめて「ああ、今私の脳は一生懸命戦ってくれているんだな」と受け止めてあげてくださいね。
血糖値の「ジェットコースター」に気をつけて!

脳がSOSを出して炭水化物を求めるのは自然な防衛反応ですが、ここに一つ大きな罠があります。
それが「血糖値のジェットコースター」です。 甘いものやパンばかりを急激に食べると、体の中の血糖値(血液中の糖分の濃度)が激しく乱高下し、これが気分の激しいアップダウンを引き起こしてしまいます。
- 【UP:急上昇】
空腹時に甘いお菓子や菓子パンを食べると、血糖値が急激に跳ね上がります。
この瞬間は、脳のエネルギーが満たされたような気がして、一時的に「ハイ」になり、元気が出たように錯覚します。 - 【DOWN:急降下】
しかし、上がりすぎた血糖値は体にとって危険なため、今度は体(膵臓など)が慌てて血糖値を下げようと大量のインスリンを出し、結果として今度は基準値よりも下がりすぎてしまいます(反応性低血糖)。 - 【PANIC:脳のパニック】
- 血糖値が急降下すると、脳のエネルギーが突然なくなり、脳は「一大事だ!ガス欠だ!」と大パニックを起こします。
この脳のパニックこそが、突然襲ってくる強い不安感、イライラ、焦燥感、そして「またすぐに甘いものが食べたい!」という異常な衝動の正体です。
心の波が激しいと感じる時、実はその原因は「血糖値の波」と深く繋がっているかもしれません。
私たちが目指すゴールは「完治」ではない

心の病気と向き合う時、「いつになったら元通りの元気な自分に完治するんだろう」と、焦る気持ちが出てくるのは当然のことです。
しかし、精神疾患の回復において、私たちが目指すべき本当のゴールは、実は「完治」ではなく「寛解(かんかい)」や「部分寛解」と言われています。
なぜ、あえて「完治」という言葉を使わないのでしょうか?
精神疾患は、体調や環境の変化によって再発するリスクがあり、症状が完全に24時間365日ゼロになる、という状態を定義するのがとても難しい病気だからです。
そのため、「完治」にこだわると少しの体調悪化で絶望してしまいます。
その代わりに、私たちは「症状と上手に付き合いながら、日常生活に支障がない状態」を目指していきます。
- 寛解(かんかい)とは?
病気の症状がほぼ消え去り、日常生活や作業所の通所などを、以前と同じように安定して送れるようになった状態を指します。
ただし、再発をしっかりと予防するために、調子が良くても通院や服薬をきちんと継続することが不可欠です。 - 部分寛解(ぶぶんかんかい)とは?
まだいくつかの症状は残っており、日によって波はあるものの、一番辛かった時期に比べると明らかに軽くなっている状態です。
日常生活は送れますが、まだ少し不安定な時期でもあります。
ここから焦らず、さらに安定した「寛解」のステップを目指していきます。
「完全にゼロ」にできなくても大丈夫。
今の自分の状態を受け入れ、付き合っていくことが大切です。
回復のカタチは「3歩進んで、2歩下がる」

多くの人は、回復のプロセスを「右肩上がりの一直線」として想像しがちです。
昨日より今日、今日より明日の方が良くなるに違いない、と。
しかし、実際のうつ病の回復曲線は、ギザギザの波を描きます。
「あ、最近調子が良いかも!」と思った翌日に、急にガクッと起き上がれなくなるほど体調が悪くなる。
これを何度も、何度も繰り返しながら長い長い目で見た時に、少しずつ全体のベースが上に登っているというのが「普通」の回復のカタチなのです。
ですから、「昨日より体調が悪い」「先週より動けない」と、その日その日の結果だけで一喜一憂して落ち込む必要はまったくありません。 2歩下がってしまっても、また調子が良い時に3歩進めば、結果として1歩前に進んでいます。 数ヶ月前、あるいは1年前の暗闇の中にいた自分と比べてみてください。「あの時よりは、少しマシになっているな」「笑顔になれる日が増えたな」と思えたら、あなたは確実に、今回復の階段を登っています。
自分を守る解決策①:バッテリーのやりくり上手になる

では、私たちがライフワークでの作業や日々の生活の中で、自分の「根っこ」をいたわりながら過ごすためには、どうすれば良いのでしょうか?
一番の特効薬は「エネルギーの無駄遣い」を徹底的にしないことです。
特に真面目な人ほど、少し調子が良い日があると、嬉しくなって100%の力を出し切って頑張ってしまいがちです。
しかし、弱っているバッテリーで100%の無理をしてしまうと、翌日には残量が0%に激減し、そこから元の状態に回復するまでに何日も無駄な時間がかかってしまいます。
今日から心がけたいのは、腹八分目ならぬ「頑張り八分目」の精神です。
- 「できること」を「できる範囲」で、淡々と行う。
- 「あ、ちょっと疲れたかも」と自覚する前に、先回りして休憩を入れる。
- どんなに調子が良くて「もっと作業ができそう!」と思う日でも、あえて余力をしっかりと残した状態で作業を切り上げ、笑顔で家に帰る。
エネルギーを上手にやりくりして、翌日に疲れを繰り越さない習慣を身につけましょう。
自分を守る解決策②:波を穏やかにする「3つの小さな習慣」

さらに、体と心の「お天気」を少しでも安定させるために、今日から日常生活に組み込める、本当に小さくて具体的な習慣を3つご紹介します。
① 朝散歩(あささんぽ)
朝起きてから1時間以内に、15分ほど外の新鮮な空気を吸いながら歩くか、それが難しければベランダや窓際で太陽の光を浴びましょう。
日光を浴びることで、先ほどお話しした安心の物質「セロトニン」が脳内でドバッと作られます。これが日中の心の安定を生み出し、さらに夜の深い睡眠のスイッチをオンにしてくれます。
(どうしても起き上がれない無理な日は、カーテンを開けて布団の中で日向ぼっこするだけでも100点満点です!)
② 睡眠を削らない
睡眠は、傷ついた「脳の回復時間」そのものです。
夜遅くまでスマートフォンを見続けたり、ゲームに熱中したりして睡眠時間を削ってしまうのは、脳の修復工場を無理やり夜間休業させるようなものです。
夜のスマホはほどほどにして、脳をしっかりと休ませてあげる時間を最優先で確保しましょう。
③ 食事は「野菜」から(ベジファースト)
先ほどの「血糖値のジェットコースター」を防ぐための強力な対策です。
お腹が空いている時にいきなり白米やパン、麺類などの糖質を口にするのではなく、まずはサラダやスープなどの「野菜」や、お肉・お豆腐などの「タンパク質」を先に食べる(ベジファースト)ことを徹底しましょう。
これだけで、食物繊維がクッションの役割を果たし、糖分の吸収が緩やかになって、食後の気分の乱高下を驚くほど防ぐことができます。
仲間を支え合う解決策:みんなで「ガス抜き」を手伝おう

最後に、ライフワークという素晴らしい環境で、共に過ごす仲間同士がどのように支え合っていけば良いかについて考えます。
もし、あなたの隣にいる大切な仲間が落ち込んでいたり、辛そうにしていたりする時、私たちができる一番の素晴らしいサポートは何だと思いますか?
それは、的確な「アドバイス」をしてあげることではありません。
相手の心に溜まった苦しい空気を抜いてあげる「ガス抜き」を手伝うことです。
具体的なガス抜きのサポート方法は、とてもシンプルです。
- ただ、うんうんと静かに話を聴く(解決策を提示しようとしなくて大丈夫です)。
- 「頑張れ」と言わない(相手はもう、死に物狂いで十分に頑張っています)。
- 「つらいんだね」「よく分かるよ」と、相手が吐き出したネガティブな感情を一切否定せずに、そのままの形で受け止める。
人間の悩みというものは、風船と同じです。
パンパンに膨らむ前に、小さいうちに誰かに言葉として吐き出す(ガス抜きをする)だけで、驚くほど心はスッと軽くなります。
お互いに、弱音を吐いても誰も責めない、「何でも安心して話せる安全な場所」を、このライフワークの中にみんなで一緒に作っていきたいですね。
まとめ:どんなお天気の日も、傘を分け合いながら

うつ病や心の不調は、風邪のように一朝一夕には治りません。 カラッと晴れ渡る日もあれば、突然の大雨や、一寸先も見えないような土砂降りの日もあります。
でも、こうして「脳のエネルギーが切れているんだな」「血糖値が揺れているんだな」という体の仕組みを知り、動けない自分を責めないこと。
そして、ライフワークの仲間とお互いの「雨(不調)」を理解し合い、認め合うことができれば必ず私たちは自分らしい心地よいペースで、前を向いて進んでいくことができます。
焦る必要はありません。
無理をする必要もありません。
お互いに小さな傘を分け合いながら、雨の日は一緒に雨宿りをしましょう。
この温かい場所で、一緒にゆっくりと、強くて優しい「根っこ」を育てていきましょうね。
