仕事をしていると、「もっと色々なことができるようになりたい」「すごいスキルを身につけなきゃダメなんじゃないか」と焦ってしまうことはありませんか?
世の中には、難しい言葉を使ってバリバリ働いているように見える人がたくさんいますよね。
でも、実は「仕事ができる人」になるために、特別な才能や一部の天才にしかできないようなスキルは必要ないんです。
「仕事ができる人の頭の中」の著者、木暮太一氏によると、私たちが目指すべき「仕事ができる人」の定義は、もっとシンプルです。
「仕事ができる人」とは「目の前の相手の負荷を下げて、ラクにしてあげる人」です。
今回は「まわりの人をラクにして、自分自身もハッピーになるための5つの力」について、徹底的に詳しく解説していきます。

「仕事ができる人」の本当の意味って?(スーパーマンじゃなくていい!)
「仕事ができる人」と聞いて、あなたはどんな人を思い浮かべますか?
何でも一人で完璧にこなすスーパーマンのような人でしょうか?
それとも、イーロン・マスクのような超天才的なビジネスパーソンでしょうか?
木暮氏は、私たちが目指すべき「仕事ができる」というのは、そうした雲の上の存在になることではないと語っています。
本当の正解は「目の前の相手の負荷を下げて、ラクにしてあげる人」です。

仕事の成果というのは、実は目に見えにくいものです。
営業職なら「売上」という数字で成果がわかりますが、企画や総務、法務といった仕事では、「これをやったから仕事ができる」という明確な基準が測りにくいですよね。
法務部が「トラブルを解消した回数」で評価されるなら、わざとトラブルを増やせばいいのか?というと、絶対に違います。
だからこそ、私たちが意識すべきなのは「目の前にいる相手の負荷を下げること」なのです。
チームで仕事をしている以上、誰かのために動くことが基本であり、特別な才能がなくても、まわりの人の「めんどくさい」や「疲れる」という岩(負荷)をどかして減らすだけで、あなたは立派な「仕事ができる人」になれるのです。
なぜ仕事が「つまらない」「つらい」と感じるの?

仕事や作業が「つまらない」「つらい」と感じてしまうことは誰にでもあります。
その原因を、多くの人は「自分にすごいスキルがないからだ」と勘違いしてしまいます。
しかし、一番の理由はそこにはありません。
あなたが仕事が嫌いなのは、やっている作業そのものがつまらないからではなく「まわりから認められていない(評価されていない)と感じるから」なのです。
評価されないからこそ、つまらなくなり、やりがいを見失ってしまいます。
逆に言えば、まわりからしっかり評価されれば、仕事は絶対に楽しくなるのです。
「カンちがいしている人」と「本当に仕事ができる人」の決定的なちがい

ここで、「仕事ができる人」と「カンちがいしてしまっている人」の行動のちがいを比較してみましょう。
- × カンちがいしている人
- 目的:自分が目立ってほめられるために行動する。
- 行動:とにかく自分がたくさん話し、やみくもにバタバタと忙しそうに動く。例えていうと、野球の試合で「ホームベースを踏む(点を取る)」という目的を忘れて、ただ強豪校のマネをして闇雲にバットを振ったりダッシュしたりしているだけの状態です。
- ○ 本当に仕事ができる人
- 目的:まわりの人を助けるために行動する。
- 行動:相手の頭の中を整理してスッキリさせ、相手が「困るだろうな」と思うことを先回りしてやる。
まわりの人をラクにするための「5つの道具(スキル)」

相手の負荷を下げるという「ゴール」を達成するために、具体的にどのような力が必要なのでしょうか? 以下の「5つの道具」を紹介します。
- 言葉にする力 (言語化力)
- まねして考える力 (論理的思考力)
- 思いやる力 (コミュニケーション力)
- ちがいを認める力 (対立しない力)
- 先回りして動く力 (行動力)
これらのスキルは、単独で使うものではなく、「相手の負荷を下げるため」という大きな目的のために使って初めて意味を持ちます。一つずつ、見ていきましょう。
道具①:まわりの人の「言いたいこと」を言葉にしてあげる(言語化力)

最初の道具は「言葉にする力」です。
言語化力というと、自分から上手な意見をペラペラと喋ることだと思いがちですが、そうではありません。
相手の頭の中を整理して、相手が考えていることを代わりに言葉にしてあげるのが、一番のおたすけになります。
「仕事ができる人の頭の中」の著者、木暮太一氏は非常に興味深い事実を指摘しています。
「リーダーは部下に対して明確に指示を出さなければいけない」とよく言われますが、世の中には「明確に指示を出すのが苦手で苦しんでいる上司やリーダー」が山のようにいるのです。
言語化に慣れていない人は、言葉にすること自体に大きなストレス(負荷)を感じています。
だからこそ、相手の曖昧な頭の中を私たちが言語化してあげると、相手は「そうそう!そういうことだよ!」と大喜びしてくれます。
★ 魔法の確認フレーズ:「〇〇を良くする『ために』、これをやるんですね!」
上司から「いい感じにやっといて」と曖昧な指示を受けたとき、相手も自分の中でイメージが固まっていません。
そんな時は「〇〇というゴールの『ために』、今からこのアクションをすればいいんですね?」と確認してあげましょう。
仕事のやり取りの成分は、実は「ゴール(何のためにやるか)」と「アクション(何をするか)」の2つしかありません。
この2つを明確にしてあげるだけで、相手の負荷は劇的に下がります。
道具②:ゼロから悩まず、「うまくいった例」をまねする(論理的思考力)

2つ目の道具は「まねして考える力(論理的思考力)」です。
論理的思考というと「漏れなくダブりなく」など難しいことだと思いがちですが、最初から完璧に考える必要はありません。
実は、論理的に考えるのが得意な人というのは、子どもの頃から「数学的思考(場合分けなど)」の訓練を積んできた人たちです。
それを大人になってから一朝一夕で身につけるのは至難の業です。
では、どうすればいいのでしょうか?
小暮氏によると、私たちが目指すべきは「はちゃめちゃな案を切り捨てて、妥当な案を絞り出すこと」です。
「前はどうやっていたかな?」「あの人はどうやって成功したかな?」と、過去の「うまくいった事例」を自分の中にたくさん集めましょう。
そして、「あのケースでうまくいったから、今回もこれが妥当じゃないですか?」と提案するのです。
これなら、ゼロから一人でウンウン悩む必要はありません。
暗記と情報収集の力で十分にカバーできるのです。
- 【AIを活用する時の注意点】
近年はAIを使って事例を集めることも簡単になりました。
AIはゼロの状態から「50点」の答えを出してくれる便利なツールです。
しかし、木暮氏はAIの怖さについても警告しています。
例えば、AIに「美味しい食べ物は何?」と聞くと「焼肉、寿司、ピザです。お店を予約しましょうか?」とすぐに次の行動を促してきます。
ここで人間が「ちょっと待って、お蕎麦も美味しいよね?お蕎麦の選択肢が入ってないよ」とジャッジできなければ、私たちはAIの言いなり(術中)にはまってしまいます。
AIが出した答えが全てだと思い込まず、最後は人間が「相手の負荷を下げるために本当に適切か?」を判断することが大切です。
道具③:相手の「頭の疲れ(ストレス)」を減らす(コミュニケーション力)

3つ目の道具は「思いやる力(コミュニケーション力)」です。
一般的に「コミュ力が高い」というと、誰とでもすぐ仲良くなれる、初対面でも会話が弾む、といったプライベートでのスキルを想像しがちです。
しかし、仕事においては誰かと仲良くなるために職場に行っているわけではありません。
仕事におけるコミュニケーション力とは「相手の脳内ストレス(頭の疲れ)を減らすこと」です。
- 忙しい時にムダに話しかけない: 相手が集中している時に「ねえねえ!」と声をかけるのは、単に「うざい」だけであり、相手のストレスを跳ね上げてしまいます。
- 短くわかりやすく伝える: 1行で済む用件をダラダラと10行で書かれたメールを読むのは、相手の脳内ストレスを増加させます。だれが見ても「すぐわかる短いメモ」を残すなど、情報を受け取りやすく整理してあげることが重要です。
ムリに仲良くおしゃべりすることだけがコミュニケーションではありません。
相手が働きやすいようにお膳立てをしてあげたり、相手を疲れさせない気配りをすることこそが、ビジネスにおける最高のコミュニケーションなのです。
道具④:「正解の反対は、もう一つの正解」だと知る(対立しない力)

4つ目の道具は「ちがいを認める力(対立しない力)」です。
仕事はチームでゴールに向かって進めるものです。
自分の正しさを主張して相手と喧嘩し、チームワークを乱してしまっては元も子もありません。
意見がちがうとき、「相手が間違っている!」と怒らないことが大切です。
小暮氏によると、私たちはしばしば他人を「こういう時はこうするべきだ」という「べき論」で見てしまいます。
しかし、その「べき」を向けられた相手は、頭の中で「だって、こうなんだもん」と考えているのです。
「だって、会社の方針で無理なんだもん」「だって、クライアントがこう言っているんだもん」と、相手には相手の必ず守るべき事情や理由があります。
相手の意見が違うからといって「アホだからだ」「不勉強だからだ」と感情的にならず「なるほど、もしかしたらそういう事情(だって)があるのかもしれないな」と思いやる想像力(推測する力)を持ちましょう。
「正解の反対は不正解」ではありません。
「正解の反対は、もう一つの正解」なのです。
道具⑤:相手が「めんどくさい」と思うことを先にやる(行動力)

最後の道具は「先回りして動く力(行動力)」です。
ただバタバタと走り回ったり、自分がやりたいことを勝手にやるのが「行動力」ではありません。
悪い行動力の例として「営業成績が全く上がっていないのに、夕方になるとそそくさと異業種交流会に出かけて名刺交換をして『人脈を作ってきました!』と満足している人」が挙げられます。
求められている行動(営業目標の達成)をせずに、ズレた行動をしても意味がありません。
本当の行動力とは「何をしてあげたら、あの人は助かるかな?」とよく観察し、相手が求めていることや、つまずいていることを「先に勉強する(シミュレーションする)」ことから始まります。
- 【営業の事例:相手の負荷を先回りして見つける】
例えば、インターネット広告の営業マンが、ただ「広告を出しませんか!」と電話をかけても、相手は「いらない」とストレスを感じるだけです(押し売りになってしまいます)。
そうではなく、クライアントの日常業務をシミュレーションし、「今、歓送迎会の時期でお店探し(幹事)が大変なんじゃないかな?」と想像します。
そして、「インターネット広告の件とは別ですが、会社近くの美味しいお店リストを作ってきたのでお役立てください」と提案するのです。
相手の直接の業務でなくても、相手が「めんどくさい」と思っている負荷を下げてあげる行動をとれば「じゃあちょっと広告の話も聞いてみようか」と関係性が生まれるのです。相手が困る前に、サッと動いてあげることが一番の行動力です。
相手をラクにすると、あなたもハッピーになる!

「仕事ができる」=「相手の負荷を下げること」だということが、ここまででよくわかったと思います。
「相手の負荷を下げる行動」は、まわりの人を助けるだけでなく、最終的にはあなた自身に大きなメリットをもたらします。
- あなたが相手を思いやって動く
- 相手が「助かった!」と心から喜ぶ
- あなたがまわりからしっかりと「評価」される
- 評価されることで、仕事がもっと楽しくなる!
このハッピーなサイクルを回すことで、あなたの人生そのものが大きく変わっていくはずです。
【ワークショップ】今日からできる「おたすけアクション」を見つけよう!

最後に、学んだことをライフワーク(事業所)で実際にやってみるための簡単な練習です。
リラックスして、無理のない範囲で考えてみましょう。

- ワーク①:まわりの人を観察してみよう
事業所の中で、スタッフさんや他の利用者さんが「大変そうだな」「めんどくさそうだな」と思うことを、まずは1つ思い出して書いてみましょう。
(例:作業の準備にいつも時間がかかって焦っている人がいる / 道具を片付けるのが大変そうだ)

- ワーク②:あなたにできる「おたすけ」を考えよう
ワーク①で書いたことに対して、相手を「ラク」にするために、あなたが明日からできる小さな行動(アクション)を1つ書いてみましょう。
(例:作業が始まる前に、使う道具を机に並べておく / 「何か手伝いましょうか?」と声をかけてみる)
焦らず、まずは一つ、あなたができる小さなことから始めてみましょう!

