
就労継続支援事業所で仕事をしていると「スタッフさんにうまく自分の状況を伝えられない」「報告しようとすると、結局なにが言いたいの?と言われてしまう」と悩むことはありませんか?
実は、人生の悩みの90%は「人間関係(コミュニケーション)」から生まれていると言われています。
つまり、言葉によるコミュニケーションのすれ違いが、私たちの悩みの大きな原因になっているのです。
でも、安心してください。特別な才能やセンスがなくても、「整理の道具」を使えばこの悩みは解決できます。
今回は、誰でも簡単に頭の中を整理して、相手に伝わる言葉を作ることができる「究極の3ステップ」をご紹介します。
言葉の「3つの大きなカンチガイ」を手放そう

伝えるのが苦手な人は「自分には才能がないからだ」「もっと本を読まないからだ」と、自分を責めてしまいがちです。
まずは、あなたが背負っている「重たいカンチガイの荷物」を降ろすところから始めましょう。
カンチガイ①「話すには特別なセンスが必要」→ × ウソ

おもしろく、または分かりやすく話すためには、生まれつきの魔法のような才能が必要だと思っていませんか?
それは大きな間違いです 。
本当に必要なのは、センスではなく「型(ルール)」と「練習」だけです。
これはケーキ作りと同じです。
決められたレシピ(型)の通りに材料を量って混ぜれば、誰でも美味しいケーキが焼けるように、言葉も「型」に当てはめるだけで上手に作ることができます。
特別な才能は一切いりません 。
カンチガイ②「難しい言葉をたくさん知らなきゃダメ」→ × ウソ

「語彙力がないから伝わらないんだ」と、分厚い辞書を引いたり、難しい本を読んでかっこいい言葉を覚えようとしていませんか?
ビジネスや事業所のコミュニケーションにおいて、専門用語や難しい言葉は不要です。
大切なのは、語彙力を増やすことではなく「相手が普段使っている言葉(語彙)に合わせる」ことです 。
例えば、事業所のスタッフさんに話すときは、スタッフさんが普段使っている分かりやすい言葉にピタッとパズルを合わせるようにするだけで、伝わりやすさは劇的に変わります 。
カンチガイ③「立ち止まらずに、スラスラ話さなきゃダメ」→ × ウソ

質問されたら、1秒でペラペラと答えなければいけないと思い込んでいませんか?
実は、即答してスラスラ話せる人が「言語化が上手い人」ではありません。
スラスラ話すのはただの「飾り(表現のテクニック)」に過ぎません。
ゆっくりでも、途中で間があっても、言葉が詰まっても全く問題ありません。
最優先すべきは、話すスピードではなく、お弁当箱のおかずがきれいに整理されているように、話の「中身」が頭の中で整理されているかどうかです。
中身が曖昧なままスラスラ話しても、相手には何も伝わりません 。
事前の準備さえすれば、誰でも「伝わる言葉」は作れます! 才能がないと諦める必要はありません。

考えをまとめる「究極の3ステップ」

才能がいらないことは分かりました。
では、具体的にどうすれば伝わる言葉を作れるのでしょうか?
ここからは、「整理整頓の道具箱」に入っている3つのツール(ピン止め、引き出し、ハサミ)を順番に使って、頭の中をまとめる究極の3ステップをご紹介します。
ステップ①:目的地をピン止めする(目標をきめる)

言葉を発する前に、まずは地図にピンを刺すように、会話の「目的地(ゴール)」を心に設定します。
話し始める前に、必ず次の2つを明確にしてください。
- だれに伝える?(例:ライフワークの担当スタッフさんに)
- どうしてほしい?(例:作業で失敗したことを伝えて、直し方を教えてほしい)
「言語化が苦手だ」という人ほど、このゴール設定ができていません。
誰に、どんな状況で、どうしてほしいのかというゴールが決まれば、話している途中で迷子になることを防げます。
ステップ②:全体を整理する(引き出しに分ける)

ステップ②:全体を整理する(引き出しに分ける)
ゴールが決まったら、次はいよいよ頭の中のモヤモヤを整理します。
ここで絶対にやってはいけないのは、頭に浮かんだモヤモヤを「そのまま口に出す」ことです。
まずは情報をパズルのようにグループ分けし「大きな話(結論や全体像)」と「細かい話(具体的な事実や詳細)」の引き出しに分けて整理します。
これをビジネス用語で「ロジックツリー(または構造化)」と呼びます。
なぜ「構造化(引き出しに分ける)」が必要なの?
人間の脳は、整理されていないバラバラで膨大な情報を、一度にすべて理解することはできません。
情報を「大きな話」と「細かい枝葉の話」に分けて整理することで、まずあなた自身が今の状況を深く理解できるようになります。
自分が理解できていないことは、当然相手に分かりやすく伝えることもできませんよね 。
AI初心者でも簡単!頭の整理をAIにお願いする手順
頭の中だけで整理するのが難しい場合は、AI(NotebookLMやChatGPT、Geminiなど)の力を借りるのが圧倒的におすすめです 。特別なプログラミングの知識などは一切不要で、以下の手順で進めるだけです。
- モヤモヤをそのまま書き出す(または音声入力する)
まずは、今悩んでいることや報告したいことを、まとまっていなくて良いのでAIの入力欄に全部吐き出します 。スマートフォンの音声入力を使って、思いつくままに喋るのもおすすめです 。 - 魔法の言葉を入力する:
吐き出した文章の最後に、「添付した内容を箇条書きで構造的に整理して」という一言を添えて送信ボタンを押します 。 - AIが引き出しに分けてくれる:
これだけで、AIが瞬時にあなたのモヤモヤを「現状」「原因」「相談したいこと」などのグループごとに分け、スッキリとした箇条書きに整理してくれます 。
さらに分かりやすく!「マインドマップ」の魔法
AIが箇条書きにしてくれただけでも分かりやすいですが、Googleが提供している「NotebookLM」という無料ツールを使えば、さらに一歩進んだ整理が可能です。
NotebookLMには、読み込んだ情報からボタンひとつで「マインドマップ(木の枝のように情報が広がっていく図)」を作成してくれる機能があります。
マインドマップを使って情報を文章ではなく「図(絵)」として見ることで、「ここが一番大きな結論だな」「ここは細かい理由だな」という全体像(階層構造)がひと目でパッと把握できるようになります。
視覚的にスッと頭に入ってくるため、相手に説明する時も「自分は今、全体の中のここの話をしている」と迷子にならず、論理破綻せずに伝えることができるのです 。
ステップ③:削ぎまくる(いらない言葉を切る)

引き出しに整理できたからといって、それを全部話す必要はありません!
むしろ、不安になるくらい「削ぎ落とす」ことが重要です。
人は一生懸命整理すると、その努力を認めてほしくて「全部伝えたい病」に陥りがちです。
しかし、聞く相手(スタッフさんなど)は忙しいのです。
会話はキャッチボールですから、いっぺんに全てのボールを投げる必要はありません。
本当に大事なことだけを残して、あとはバッサリ切り捨てましょう。
削って残ったピンポイントの部分だけを投げ、あとは相手からの質問に答えればよいのです。
では、ハサミで切ったあとに「絶対に残すべき3つのポイント」とは何でしょうか?

- ちがい(変化):なにが起きたのか?いつもと何が違うのか?(例:いつもはできる作業ですが、今日は手順を間違えました)
- イイコト(得・理由):相手にとってどんな意味があるか?(例:今報告すれば、被害を最小限に食い止められます)
- つぎの行動:自分は次に何をするべきか?相手に何をしてほしいか?(例:修正方法を教えてください)
この3つだけが残っていれば、100点満点の伝え方になります!
[重要ルール]「事実」と「気持ち」のカゴを分ける
ステップ③で言葉を削ぐ際、特に「ミスの報告」や「体調不良の相談」などの場面で、絶対に守らなければならない重要ルールがあります 。

それは、「事実」と「気持ち(主観)」のカゴを明確に分けることです。
報告するときに一番やってはいけないのは、この2つのカゴをごちゃ混ぜにして話すことです。
- 【事実カゴ】:カメラに写るような、実際に起きた客観的な出来事。「ミスをした」「作業が遅れている」など。
- 【気持ちカゴ】:主観的な思いや言い訳、希望的観測。「疲れていたから」「怒られたくない」「たぶん大丈夫だと思う」など。
スタッフさん(相手)があなたを助けるために最初に知りたいのは、【事実】のカゴに入っている情報だけです!
言い訳や「なんとかなるだろう」という希望的観測を付け足してしまうと、状況が正しく伝わらず、かえってトラブルの火種になります 。勇気を出して、自分の気持ちや言い訳の言葉は削ぎ落としましょう 。
まとめ:あなたの「道具箱」の使い方

もうあなたは、コミュニケーションの道具の使い方が分かりましたね。
「伝わる言葉」に才能は一切関係ありません。
事前の準備と、型に当てはめる力があれば、あなたの言葉は相手にまっすぐ届きます。

さあ、実際に道具を使ってみましょう!
事業所でも、このワークシートの順番に従ってメモを書いてからスタッフさんに話しかけてみてください。
きっと、「すごく分かりやすいね!」と言ってもらえるはずです。
言葉が変われば行動が変わり、少しずつ自信に繋がっていくはずです。
一緒に「伝わる言葉」の練習をしていきましょう!
