見えている世界、聞こえている音。みんな同じ・・・じゃないかも? 〜ライフワークの仲間と知る「感覚過敏・感覚鈍麻」のおはなし〜

こんにちは!就労継続支援事業所ライフワークのKatyです。 皆さんは、毎日作業所に通う中で、なんだか理由もなくヘトヘトに疲れてしまうことはありませんか? 今日は、私たちが心地よく自分らしく働くために、ぜひ知っておきたい「感覚」のお話をしたいと思います。

こんなふうに感じて、ヘトヘトに疲れたことはありませんか?

職場や日常生活の中で、こんなふうに感じた経験はありませんか?

  • 「蛍光灯の光が、目に刺さるようにまぶしい」
  • 「周りの話し声や物音が大きすぎて、頭が痛くなる」
  • 「服のチクチクするタグが気になって、全く集中できない」

「みんな平気そうにしているのに、どうして自分だけ…」と悩んだり、「気にしすぎだ」と自分を責めたりしたことがあるかもしれません。

でも、安心してください。
これらは決して「気のせい」や「わがまま」ではありません。
目には見えないけれど、あなたの体の中で本当に起きていることなのです。

人にはそれぞれ、自分専用の「感覚のボリューム」があります

実は、人にはそれぞれ、自分専用の「感覚のボリューム」というものがあります。
例えば、Aさんは視覚や聴覚、嗅覚のボリュームがすべて「50」くらいだとします。
一方でBさんは、視覚は「10」と小さめなのに、聴覚は「100(MAX)」になっているかもしれません。

小さな音が「大爆音」に聞こえたり、普通の光が「強烈なフラッシュ」に感じたりする。
このように、特定の感覚のボリュームが常に大きくなっている状態を「感覚過敏(かんかくかびん)」と呼びます。

なぜ「過敏」になるの? 気合いで治るものではありません

「気にしないようにしよう!」と気合いを入れても、感覚過敏が治るわけではありません。
これには、脳の仕組みが深く関わっています。

私たちの脳には、日々あふれる情報の中から、不要なものを自動で捨てる「フィルター」のような機能があります。
普通のフィルターなら、大切な声だけを通し、背景の雑音やキーボードのタイプ音などは「ごみ箱」と振り分けてくれます。
しかし、感覚過敏を持つ人の脳は、このフィルターの目が少し粗かったり、形が違ったりするのです。
そのため、必要な情報も不要なノイズもすべて一緒に脳に届いてしまい、脳がパンクして「ざわざわ」や「パニック」を引き起こしてしまいます。
これは「脳の個性」であり、「がまん」で解決するものではないことを覚えておいてくださいね。

職場で起きやすい困りごとと、働きやすくする工夫

では、具体的に職場でどんな困りごとが起きやすいのか、そしてどうすれば働きやすくなるのかを見ていきましょう。

【耳(聴覚)の困りごと】
電話の音、人の話し声、空調の音が、全部同じ大きさで混ざって聞こえてしまい、目の前のことに集中できないことがあります。

★どうする?(工夫・配慮)
・耳栓やイヤーマフを着用して、入ってくる音の量を減らす。
・静かな席へ移動させてもらう。
・指示は口頭ではなく、チャットやメモなど「文字」で残してもらう。

【目(視覚)の困りごと】
蛍光灯のちらつきや、白い紙に反射する光がまぶしくてたまらない。また、周りの人の動きが常に視界に入ってしまい、ひどく疲れてしまうことがあります。

★どうする?(工夫・配慮)
・色付きメガネ(サングラス)を着用して、光の刺激を和らげる。
・PC画面の明るさを下げる。
・視界を遮るパーテーションを置いてもらい、自分だけの空間を作る。

【肌(触覚)の困りごと】
服のタグや縫い目が肌に触れるだけで痛いと感じたり、後ろから急に肩を叩かれると、パニックになるほど驚いてしまったりすることがあります。

★どうする?(工夫・配慮)
・服のタグを切ったり、肌に優しい素材の服を着たりするルールを許可してもらう。
・人に声をかける時は、必ず視界に入ってから接するように周りにお願いする。

【鼻(嗅覚)の困りごと】
香水や柔軟剤、他の人のお弁当のにおいなどで、頭痛や吐き気がしてしまうことがあります。

★どうする?(工夫・配慮)
・マスクをつけて、においを直接吸い込まないようにする。
・強い香水は控えるというルールを社内で共有する。
・食事をとるスペースと、作業をするスペースをしっかり分ける。

逆に「感じにくい」ことで倒れてしまうこともあります

ここまで「過敏」についてお話ししてきましたが、実はその逆で、「痛み」「暑さ」「疲れ」などに気づきにくい「感覚鈍麻(かんかくどんま)」という脳の特性もあります。

「自分はまだまだ元気!バッテリーは100%だ!」と思っていても、体はすでに限界(5%)を迎えていて、突然プツンと糸が切れたように倒れてしまうことがあるのです。
心身の健やかな状態を長く維持するために、頑張りすぎに注意することは本当に重要なルールです。
自分では疲れていないと感じていても、タイマーを使って時間を区切り、こまめに休憩をとることが絶対に必要です。

感覚のボリュームは、その日の「体調」で大きく変わります

私たちの感覚のボリュームは、毎日一定ではありません。その日の「体調」や「ストレス」によって大きく変動します。

よく寝てリラックスできている日は、ボリュームが小さく(20くらい)収まっていても、疲れている時、寝不足の時、何か不安なことがある時は、ボリュームが最大(100)になり、「過敏」になりやすいのです。
「昨日は全然大丈夫だった音」が、「今日はどうしても耐えられない音」になってしまうのは、ごく自然な体の反応です。自分を責めず、「今日はそういう日なんだな」と受け止めてあげてください。

配慮や工夫は「特別扱い」ではなく、「メガネ」と同じです

「自分だけ耳栓をしたり、パーテーションを使ったりするのは、特別扱いされているみたいで申し訳ない…」と感じる方もいるかもしれません。

でも、少し考えてみてください。目が悪い人がメガネをかけているのを見て、「ズルい!」と言う人はいませんよね?
イヤーマフ、サングラス、パーテーションなども、それと全く同じです。
それらは決してズルや特別扱いではなく、その人が本来持っている力をしっかりと発揮するための「必要な道具(環境調整)」なのです。

自分の取扱説明書:「こうすればできる」を伝えてみよう

自分の感覚は、口に出して伝えないと、他の人には見えませんし、分かってもらえません。
そこで、スタッフや支援員さんに相談する時の「魔法の言葉」をお伝えします。

✖ NGな伝え方:「うるさいです!無理です!」
これだと、あなたが困っていることしか伝わらず、周りはどう助けていいか分かりません。

〇 OKな伝え方:「音に敏感なので、耳栓を使ってもいいですか? そうすれば集中して作業ができます」
「○○があれば、××できます」というように、理由と解決策(自分の取扱説明書)をセットにして伝えてみましょう。
そうすれば、周りもすぐに的確なサポートができます。

困り事を伝える時の参考になるブログなので読んでみてください!

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ライフワークの仲間として、私たちが今日からできること

同じ職場で働く仲間として、お互いが心地よく過ごすために、今日からできることが3つあります。

  1. 「そういう人もいる」と知る
    職場でイヤーマフをしている人がいても、それはあなたを無視しているわけではありません。ただ、不快な音から自分の身を守っているだけなのです。
  2. 急に触らない・急に大声を出さない
    人に声をかける時は、後ろから急に肩を叩くのではなく、相手の視界にスッと入ってから、優しく声をかけるようにしましょう。
  3. におい・香りに気をつける
    自分が好きな強い香水や柔軟剤の香りが、隣で作業している人の体調を崩してしまう原因になっているかもしれません。職場では少しだけ控える気遣いが大切です。

環境さえ整えば、感覚の「ちがい」は素晴らしい「強み」になる

「過敏さ」は、見方を変えれば素晴らしい才能の裏返しでもあります。

  • 音に敏感 + 静かな環境 = 機械の小さな異常音やミスに、誰よりも早く気づける才能
  • 光や色に敏感 + 光を抑えた環境 = 細かい違いや汚れを絶対に見逃さず、丁寧に作業ができる才能

自分に合った環境が整い、安心して作業ができるようになれば、その「過敏さ」は、ライフワークでの立派な「武器」に変わります。

みんな違って、みんないい

私たちは一人ひとり、全く違う感覚の地図を持っています。
その違いを「ダメなこと」として隠すのではなく、お互いの大切な「個性」として受け入れ、工夫を分かち合っていきませんか?
そうすれば、きっとみんながもっと心地よく働ける場所になるはずです。

作業中に「働きづらいな」「もしかして自分も感覚過敏(または鈍麻)かも?」と思うことがあれば、決して一人で抱え込まずに、いつでもライフワークのスタッフに声をかけてくださいね。
あなたに一番合った働き方や道具を、一緒に見つけていきましょう! 

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